“表現する側”としての展示と“作品を守る側”としての展示

 

一口に展示と言っても,私は“表現する側”の展示と“作品を守る側”の展示があると思う。私は昨年,名古屋大学写真部で写真展を統括する立場にあった。この時は自作や常に顔を合わせる部員の作品を展示し,“表現する側”として展示を行っていた。対して本職の学芸員は,自分の作品を展示するのではなく “作品を守る側”として他者の作品を展示していると言える。

両者の最も大きな違いは,展示するのが自分の作品か否かという点である。自作の意図や制作背景は完全に理解でき,自分に近い立場の人の作品も近い状態になり得る。しかし学芸員は,他者の作品を展示し,時には故人の作品を展示する。作品へ理解が不十分だったり,作品が劣化し作品への理解に支障を来したりした場合,作者の意図を汲んだ展示が出来ない可能性が生じてしまう。

翻って考えると,作品・作者への理解を補うのが研究であり,作品を元の姿で維持することが保存と修復の役割だと言える。展示こそ学芸員の見せ場だと思いがちだが,良い展示(少なくとも作者の意図を汲んだ展示)を行うには,展示以外の業務こそ学芸員の重要な役割だと,性格の異なる2つの展示を経験し,改めて考える。

 

S.T

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